Private Educational Network Osaka
設立趣意書
わが国はいま、大きな歴史の転換期に差し掛かっています。 振り返ってみるとわれわれはこれまでに、 大まかにいって三つの時代を経験してきました。 原始の人びとが暮らした長い長い狩猟と採集の時代、 ようやく安定した生活を営めるようになった定着農業の時代、 そしてわれわれ現代人が生まれ育った産業革命以降の工業の時代。 そのわれわれの工業の時代が、いままさに次の時代に移行しようとしています。 待ち受けているのはポスト産業社会=情報社会といわれるものですが、 現在わが国が直面している政治、経済、その他さまざまな分野の混乱は、 この転換期のカオスにほかならないとわたしたちは考えています。 社会のあらゆるシステムは、すべて時代の産物といってよいでしょう。 それぞれの時代には、社会を構成するすべての分野において、 時代の要請に適応した最適なシステムが存在するものです。 しかし時代から時代への過渡期、時代が重なる移行期にあっては、 ぴたりとはまるシステムが見出しえない。 どういうシステムを採用しても不備はまぬかれえず、 はみ出すものが噴出する。これが混乱の原因です。 わが国の教育の世界もまた、同様な理由で同様の状況にあります。 教育の世界がどのような状態か、皆さんはすでにご存知でしょう。 小中学校だけに限ってみても、児童生徒の学力低下、 不登校、保健室通学、学級崩壊、勉強嫌い、無気力、いじめ、校内暴力、 道徳感の欠如。加えて、教える側の不適格教師。 昔日を思えば、それはもはや荒廃と呼んでも過言ではありません。 われわれの生きてきた工業社会にもっとも適した教育のシステムは、 もちろん学校=公教育と、それを基幹とするさまざまな教育の体系でした。 そのすべてが、移り変わる時代の求めに対応しきれなくなって、 現在の混乱が生じているわけです。では、この公教育体系の不備を補い、 さらに時代の要請に応じて新たな要素を提供しうるものは存在しないのでしょうか。 わたしたちは、それが「民間教育」であると考えています。 周知のように公教育は、もっぱら若年層を対象に教育を施して、 産業社会が要求する何段階かの品質を備えた規格品を社会に 大量に輩出するところに特徴があります。 すでにこの特徴の中に少なくとも二つ、公教育が時代の要請に対応しきれなくなった原因を 見出すことができます。 まず「規格品」の創出という特徴を考えてみましょう。 新しい時代は多様性を基調にしています。 多様性は統一された基礎の上に花開くものですから当然、 規格品的な教育も学習も必要です。 しかし、それだけでは不足なことも間違いなく、 広範囲に及ぶ多くの専門家や 多様性を育むこまやかな指導は欠かせません。 はたしてこれらを公教育に期待することが可能でしょうか。 「若年層を対象」という特徴についても同じです。工業の時代は、 進歩のスピードが激しいといってもまだまだ静的な社会でした。 だからこそ青少年に教育を施すだけで事足りていたともいえるでしょう。 余談ですが学歴が意味を持っていたのは、若年時に仕込んだ知識が 一生涯通用する時代だったからでしょう。 しかし、新しい時代は日々変化する時代です。 この変化に応じて人は日々学習を続けなければなりません。 生涯学習が叫ばれるゆえんです。 だが、一億人が多岐に渡って要求する、そうした生涯学習のすべてを 公教育に期待することが可能でしょうか。 率直にいって、そこには無理がある。 どんなに公教育とそれを基幹とする教育の体系を建て直していっても、 すべてを網羅する完璧な体系作りは不可能であると断じざるをえません。 それを補い支え発展させるのがほかならぬ民間教育なのです。 ナショナルスタンダードとしての基礎を育む公教育体系。 その基礎に立脚して多様性と専門性を花開かせる民間教育。 この二つがあたかも車の両輪のごとくかみ合って 初めて現在の教育の世界の混乱が収まり、 次代を担う教育システム構築の展望が開ける。わたしたちはそう確信しています。 ところで、遺憾ながらこうしたわたしたちの考え方は、 わが国においてもまたここ大阪府においても、 いまだ広く理解を得ているものではありません。 そこでわたしたちは考えを同じくする者たちと語らい、 民間教育の振興と普及を目指して 「大阪府民間教育ネットワーク」を設立することにいたしました。 大阪府を豊かな教育に恵まれた地に! 志あるかたがたの参集を願ってやみません。 2005年11月 大阪府民間教育ネットワーク発起人 金岡学習サークル 楢原 貴士 アップ学習会 吉村 昭彦 まなび 中野 道 五林館 豊嶋 昌弘 がくあん 二神 真人 飛翔学舎 長井 邦良